高齢化が年々進み、終活についての考え方も次第に変化しています。自分の死や死後の問題はつい避けがちですが、これからは残された家族のためにも、しっかりと考えておかなくてはなりません。そこで今回は、自治体で行われている終活支援について紹介します。そろそろ終活を、とお考えの方はぜひご覧ください。
自治体で受けられる終活サポートとは
全国の自治体では、主に一人暮らし高齢者に向けた終活サポートを行っているところが増えています。終活サポートについて紹介する前に、まずは終活について説明しておきましょう。
終活とは
終活とは、人生の終わりに向けて、自分らしい最期を迎えるため、残りの人生を充実したものにするために行う活動のことです。具体的には、生前整理や遺言書の作成、葬儀やお墓の準備、エンディングノートの作成などがあります。
エンディングノートとは、家族へ伝えておきたいことや介護・葬儀・供養方法についての希望、財産分与など、自分が思うままに自由に書き留めておくノートです。遺言書とは異なり、法的効力はありませんが、終活を進めるためには、とても便利なものとなっています。
自治体で行われている終活サポートでも、エンディングノートを配布していることが多く、書き方のアドバイスがもらえる自治体もあります。
終活相談の窓口
自治体では、市民であれば、だれでも利用できる無料の終活相談窓口を設置しているところがあります。相続税などの専門的な相談にも対応できる窓口がある自治体も増えています。
安否確認や見守り
自治体では、通報装置やセンサー機器設置への補助を行う、配食サービスによる定期的な安否確認などを行っているところがあります。顔を見て、健康状態も確認できる配食サービスは、利用者にも好評で、全国に広がりつつある支援です。
地域包括支援センターの設置
各自治体には、高齢者が最期まで住み慣れた地域で生活するための支援を行う「地域包括支援センター」が置かれています。「地域包括支援センター」では、それぞれに地域に合わせた支援体制を作り、高齢者やその家族に向けてさまざまな支援を行っています。
葬儀・納骨の生前契約・死後事務委任契約をサポート
死後事務委任契約とは、本人の死後に行わなければならない事務手続きを進めてくれるように、生前に交わす委託契約のことです。死後事務委任契約や葬儀・納骨の生前契約などについても各自治体でアドバイスや葬儀業者の紹介などのサポートを行っています。
親族・知人への連絡
万一の時は、自治体の方から親族や知人などに連絡をするというサービスを行っている自治体もあります。一人暮らしの方も、前もって連絡を取ってほしい人を伝えておけば、急病になったときなども自治体の方から連絡してくれます。
利用するメリットと注意点
自治体の終活支援は、上手く利用すれば、高齢者の一人暮らしにおけるさまざまな不安を解消してくれる心強いサポートとなります。
孤独死が防げる
安否確認サービスは、誰にも看取られることなく亡くなり、亡くなったことにも気づいてもらえないという最悪の事態を防ぐことができる、大きな安心を与えてくれる支援です。定期的に支援者が訪問してくれれば、身寄りのない方も孤立することなく、暮らすことができるでしょう。
また、終活サポートを通して、葬儀や納骨の生前契約などを行っておけば、自分の希望通りの供養も行ってもらえます。
残りの人生が悔いなく過ごせる
自治体のサポートを受けながら、終活を進めておくことで、残りの人生における心配事が減り、安心して暮らすことができます。残された家族に迷惑をかけなくて済むという安心感にもつながります。
人任せにしない
終活は本人の希望に即して行うものです。自治体からのサポートがあるとしても、まずは自分がどうしたいのかをはっきりと決めておきましょう。
家族に伝えておく
家族と離れて一人暮らしをしていると、細かな連絡を忘れがちです。せっかく終活を進めていても、家族に伝えておかないと無駄になってしまうかもしれません。終活サポートを利用する際も、出来るだけ家族に伝えておくこと、相談することが大切です。
自治体の終活サポートがおすすめな人の特徴
これらの終活支援は、基本的には希望するすべての高齢者が受けられるものです。しかし、家族と同居している、一人暮らしでも頻繁に家族と連絡を取っているなど、孤独死や死後の手続きなどにあまり不安のない方は、必要がないかもしれません。
一人暮らしの方
家族と離れて、またはパートナーと別れて一人暮らしをしている方、おひとり様など、一人暮らしの形はいろいろありますが、どの場合でも日常的な見守りがないという点では同じです。
身寄りのない方
家族・親族がいない方、親族と音信不通になっている方は、亡くなった後の事務処理や供養をしてくれる人がいません。そんなときは、自治体のサポートを受けて生前契約なども早めに進めるほうがよいでしょう。
低所得・貯蓄が少ない方
自治体の終活支援は、基本的には無料で受けられますので、所得が低い方も安心して利用できます。また福祉サービスや生前契約についても所得に合った方法をアドバイスしてもらえます。
まとめ
日本はこれからも超高齢化社会が続きます。終活や老後の問題は、自分自身のこととして受けとめて考えていかなければなりません。各自治体も終活サービスの充実を図っていますので、大切な情報はしっかりと受け取りましょう。
終活サポートを受けることは、あなたが充実した人生を送るための権利です。終活をスムーズに進めて、これからの人生を、より有意義なものにしてください。