一人暮らしの方の死後事務手続きは誰が行うのでしょうか。別居している家族がいれば、家族が行うことが多いと思います。しかし、身寄りのない方、家族や親せきと疎遠になっている方には、お願いする人がいません。そこで今回は、死後の事務手続きと手続き代行サービスについて紹介します。死後手続きが気になる方はぜひご覧ください。
死亡後どんな手続きが必要になる?
人が亡くなった後、どのような手続きが必要になるのかなどは、あまり詳しく知らない方が多いでしょう。まずは、死亡後の事務手続きについて具体的に説明します。
死後すぐに行う手続き
死後すぐから7日以内に行うことは、死亡診断書の受け取り、死亡届と火葬埋葬許可証の受け取りです。このほかにも、訃報の連絡・通夜・葬儀などを行わなければなりません。
死後14日以内に行う手続き
死後14日以内に行わなければいけない手続きは、年金受給停止の手続きや介護保険資格喪失届、住民票の抹消届・世帯主変更届などの提出です。また、できるだけ早く運転免許証の返納をしましょう。
パスポートを持っている場合は、失効手続きが必要です。また、公共料金の名義変更やクレジットカードの利用停止、定期購読などの解約も必要です。
死後1年以内に行うべき手続き
死後1年以内に行わなければいけない手続きは、次の通りです。まず、1か月以内に雇用保険受給資格者証を返還します。また、早急に遺言書の有無を確認してください。3か月以内に相続破棄などの手続き、4か月以内に所得税準確定申告・納税をします。相続税の申告・納税は、10か月以内に行いましょう。
死後5年以内に行う手続き
死後5年以内に行う手続きは、次のとおりです。2年以内に国民年金の死亡一時金や生命保険の請求などをします。高額医療費の還付申請は、医療費支払いから2年以内に行う必要があります。
相続確定後に行う手続き
相続確定後に行う手続きは、不動産や預貯金の名義変更などがあります。これらすべての手続きを、遺族が行わなくてはなりません。遺族にとっては大変な負担です。また身寄りのない方なら、手続きをしてくれる人自体がいません。
死後委任事務の契約先と相場
遺族への負担を減らすため、また身寄りがなくて、誰にも死後事務手続きを頼めないという方のために、死後事務委任契約という方法があります。
これは、死後に発生するさまざまな事務手続きを第三者に任せるというもので、葬儀や埋葬、供養などの法事関係から前述のうち相続に関するもの以外のほとんどの手続きを委任することができます。
誰に委任するのか
死後事務委任契約は、基本的には誰とでも契約できます。親族や信頼できる友人でも問題ありません。しかし、それでは結局遺族に負担をかけることになってしまうかもしれません。確実に手続きを行ってもらうためには、行政書士や司法書士、弁護士、終活の専門家などのプロに依頼することをおすすめします。
委託費用の相場
委任に関する費用は、どこまでを委託するかによって変わりますが、葬儀費用や各未払いの支払いなども含めて100~150万円程度が相場だと考えてください。
死後の手続きを代行を事前に契約しておくメリット
死後事務委任契約を行うことには、次のようなメリットがあります。
遺族への負担が減らせる
死後事務手続きの代行を委任すれば、葬儀などによる心身の負担を負うであろう遺族に、それ以上の余計な迷惑をかけないで済むというメリットがあります。委任費用が大きくなるとお考えなら、すべての事務手続きを委託するのではなく、ある程度選別して委任することもできます。
身寄りがなくても身辺整理ができる
死後の事務手続きを頼める親族がいない場合は、代行を依頼しておくことで、身辺整理の心配をする必要が無くなります。
自分の希望を伝えられる
死後事務手続きの委任をしておけば、葬儀やその他の手続きにおいて、自分の希望を確実に行ってもらえるというメリットもあります。その点、資格を持った受任者なら、委任された通りに手続きを行ってくれます。また、守秘義務によって本人の意向が漏らされるということもありません。
手続きの漏れがなくなる
手続きを遺族に任せた場合、スムーズに進まなかったり、手続き漏れが起こったりする可能性が大きくなります。故人のSNSアカウントや有料サービスの登録情報などが把握できていないと手続きの対応が遅くなることもあるでしょう。
まとめ
自分が死んだあとのことを考えるのは、あまりよい気はしないかもしれません。しかし、「立つ鳥跡を濁さず」という言葉もあります。自分の死後、遺族に迷惑をかけないように、しっかりと準備しておきましょう。
事務手続きの委任の範囲は、本人の希望に合わせてカスタマイズできますので、何を委任し、何を遺族に託すのか、身寄りがない方ならどのような身辺整理をするのか、この機会に考えてみましょう。そして、これからの人生を悔いなく生きるためにも、ぜひ死後事務委託契約について検討してみてください。